土壌中の溶質移動におよぼす粗間隙の影響

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  • Solute Transport in Soils as Affected by Macropores
  • ドジョウチュウ ノ ヨウシツ イドウ ニ オヨボス ソカンゲキ ノ エイキョウ

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抄録

農地土壌中における溶質移動に関する研究は,従来から化学肥料の効率的利用を図るため行われてきた. また,作物を栽培するためには,乾燥地や半乾燥地では塩類集積を招かないようにする必要があり,海面干拓地では干陸初期に除塩する必要があるため,塩類の移動に関心が払われてきた.近年では,環境問題と関連して,注目されるテーマとなっている.鉱山廃水による土壌の重金属汚染や,原子力発電所事故や核廃棄物処理に伴う放射性物質による汚染,肥料・農薬による水質汚染等を扱う場合,汚染物質の土壌中での挙動を明らかにすることが重要となる. 溶質は,自己の熱運動による拡散と溶媒である水に運搬される移流が複雑に組み合わさって,土壌中を移動する.土壌中の水移動は,土壌構造に規定されるため,溶質の移動も土壌構造に大きな影響を受ける.土壌の構造は多様であり,土壌中での溶質移動現象は,科学的にも興味深い.水で飽和した土壌カラムに一定濃度の溶液を浸透させ,浸透流出する溶質の濃度変化を調べると,濃度変化の様子は土壌構造によって異なる.第1 図は,それを模式的に示したものである.縦軸は,流入液の溶質濃度を基準にして表わした流出液の相対濃度を示す.横軸は,土壌カラムの水分量を基準にして表わした流出液量であり,pore volume を単位とする・図中の曲線を,流出濃度曲線という.カラムに土を均質に分布するように充瞑した場合,その流出濃度曲線は,図のB のようなシグモイド曲線となる.一方土壌カラムに粗間隙が含まれる場合,浸透溶液が粗聞隙中を選択的に流れるため,図のA の曲線のように浸透初期に急な濃度上昇を示すことが多い,本稿では, 粗間隙の影響を中心にして土壌中の溶質移動現象に関して概説する.

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