草地酪農地域における地下水と草地排水の窒素およびリンによる汚染 : 根釧台地における事例研究I

書誌事項

タイトル別名
  • Nitrogen and Phosphorus Contamination of Ground Water and Drainage Water in the Grassland Area : A Case Study in Konsen Upland I
  • 草地酪農地域における地下水と草地排水の窒素およびリンによる汚染--根釧台地における事例研究-1-
  • ソウチ ラクノウ チイキ ニ オケル チカスイ ト ソウチ ハイスイ ノ チッ

この論文をさがす

抄録

根釧台地のヤウシュベツ川流域およびその周辺の浅井戸地下水,湧水ならびに草地排水の水質を調査し,次の結果を得た. 1)浅層地下水はトリリニアダイアグラム上では,carbonate hardness に分類されるが,NO_3-_N 濃度の低いものは,Cm/Ct で0.25,As/At で 0.08 付近に重心をもつ比較的狭い領域に集中した. NO_3-_N 濃度が上がるほど non-carbonate alkali の方向にシフトするものと推定された. 2)これに対して,草地排水の多くは Cm/Ct で 0.35〜0.5,As/At で 0.25〜0.4 の領域に分布し,その分布領域は中程度の NO_3-_N 濃度の地下水とほぼ完全に重なりあった.このことから,これらの地下水は,草地土壌から排出される水の影響を受けて, Cl^- ,SO_2^<2->等の外部由来のイオン濃度が上昇しつつある過渡的な状態,すなわち今後 NO_3-_N 汚染の危険性は否定できないものと推定した. 3)As/At は,地下水,草地排水の NO_3-_N 汚染と密接な関係にあった.この比が低いサンプルの NO_3-_N 濃度は痕跡程度であったが,地下水では As/At=0.15 付近から,排水では 0.25 付近から NO_3-_N 濃度が増加しはじめ, 5 mg L^<-1> 程度まで増加した. 4)地下水,草地排水の COD およびリン濃度は, As/At とは関係なく変動し,表層土壌・不飽和帯は,有機物およびリンによる汚染に寄与していないと考えられる. 5)草地排水,とくに暗渠排水量は,1990年の盛夏期には, 6 mg L^<-1> の高い NO_3-_N 濃度を示した.また,秋になって流出水量が増加しても 4 mg L^<-1> 程度の値を維持し,植物による窒素吸収が低下する時期には, NO_3-_N 排出量は増加した.植物による窒素の利用効率を高め,土壌および不飽和層に NO_3-_Nが蓄積しないようにすることが重要であろう.

収録刊行物

被引用文献 (9)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ