連作に伴う根の糸状菌フロラの変動と根群発達に及ぼす堆きゅう肥施用効果

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タイトル別名
  • Organic Amendment to Upland Soil as a Conditioner of the Rhizosphere Ecosystem (Part 3) Effects of Organic Amendments on Root Development and the Rhizosphere Microflora of Monocropped Upland Crops
  • レンサク ニ トモナウ ネ ノ シジョウキン フロラ ノ ヘンドウ ト コング

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抄録

テンサイ、ジャガイモ、アズキ、春播コムギおよびダイズの連作ほ場において、きゅう肥、バーク堆肥それぞれ1.5t、3t、5t/10aの施用が作物の根群発達、根の菌糸態糸状菌フロラおよび各種微生物フロラに及ぼす影響を経年的に調べ、次の結果をえた。1)いずれの作物でも連作に伴い根群発達、根活力が低下し、その程度はジャガイモや春播コムギで小さく、テンサイ、アズキで大きかった。加えて、テンサイでは根腐病、アズキでは落葉病などの土壌病害も発生した。きゅう肥やバーク堆肥は施用量に応じて根活力の低下を軽減するとともに、土壌病害も抑制し、連作による減収を軽減した。2)連作3年目、5年目の生育中期に根の菌糸態糸状菌フロラを調べた結果、いずれの作物でも連作によってフロラが単純化し、その程度は連作障害の出にくいジャガイモや春播コムギよりも連作障害の出やすいテンサイやマメ類で著しかった。堆きゅう肥の施用は連作に伴うフロラの単純化を軽減し、フロラの多様性指数と根重とはおおむね正の相関を示した。3)生育初期の春播コムギとテンサイを対象に、非根圏土壌、根圏土壌および根の微生物フロラを希釈平板法により調べた結果、非根圏土壌の菌数にはきゅう肥施用の影響はみられなかったが、根圏土壌では施用量に伴って細菌、とくに色素耐性菌(グラム陰性細菌)が著しく増加した。根ではグラム陰性細菌ばかりでなく、放線菌も著しく増加した。4)堆きゅう肥施用量が多いほど土壌の交換性塩基、可給態リン酸、可給態窒素が増加する傾向がみられたが、交換性K以外は土壌診断基準値に比べて低かった。5)以上の結果から、輪作畑と同様、連作畑でも堆きゅう肥の施用は根圏の糸状菌フロラの多様化、色素耐性菌、放線菌などを増加させ、根群発達、根活力の増大、ひいては生育収量の向上をもたらしたと判断された。

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