土壌タイプによるテンサイ根系分布の違いが葉の萎れと収量性に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Dependence of Productivity and Leaf Wilting in Sugar Beet (Beta vulgaris L.) on Depth of Fibrous Root Distribution in Different Soil Types
  • ドジョウ タイプ ニ ヨル テンサイ コンケイ ブンプ ノ チガイ ガ ハ ノ シオレ ト シュウリョウセイ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

網走市において,土壌タイプ間でテンサイ収量性の格差が生じる要因を明らかにするため,各土壌タイプでの根系の深さ(RDI; Root Depth Index)の違いが葉の萎れおよび収量性に及ぼす影響について検討した.1)鉄色黒ボク土では容積重が低く通気性が良好なうえに膨軟であったため,根系が最も深かった(RDI=39.6cm).それに対し褐色森林土では心土の物理性が不良で為ったため根系が浅かった(RDI=21.8cm).多腐植質黒ボク土では心土の通気性が悪く,根系の深さは両土壌タイプ,の中間であった(RDI=29.9cm).2)水ストレスによって引き起こされるテンサイの萎れについてみると,淡色黒ボク上では蒸散要求量が高い条件下でもほとんど萎れが観察されなかった.それに対し,多腐植質黒ボク土では中〜強度の萎れが観察され,褐色森林土では強度の萎れが観察された.すなわち,根系が浅い土壌タイプほど萎れの程度が大きかった.3)テンサイの根収は淡色黒ボク土が最も高く,多腐植質黒ボク土,褐色森林土の順に低くなる傾向にあった.RDIとテンサイ根収との間には0.1%水準(r=0.634)で有意な正の相関が認められた.以上より,土壌物理性に対応したテンサイの根系の深さが萎れの発生や収量性に大きく影響しており,土壌タイプ間での根系の深さの違いが収量性の格差を生む一要因であると推察された.

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