中国とモンゴルの乾燥・半乾燥地域における夏季降水量の経年変動 : その地域性とアジアの夏季モンスーンとの関係

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タイトル別名
  • Interannual Variations of Summer Precipitation in the Arid/semi-arid Regions in China and Mongolia : Their Regionality and Relation to the Asian Summer Monsoon
  • 中国とモンゴルの乾燥・半乾燥地域における夏季降水量の経年変動--その地域性とアジアの夏季モンスーンとの関係〔英文〕
  • チュウゴク ト モンゴル ノ カンソウ ハン カンソウ チイキ ニ オケル カ

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抄録

中国とモンゴルの乾燥・半乾燥地域における夏季降水量の経年変動を解析した。回転主成分分析の手法を夏李(6-8月)降水量時系列(1951-1990年)に適用し、その経年変動特性により、対象地域を次の5地域に区分することが出来た。I)タクラマカン砂漠、II)黄土高原、III)中国華北~モンゴル中・南東部、IV)天山山脈の北側、V)モンゴル北部。地域III)の代表的な時系列は、1955年以降の降水量の有意な減少傾向を示した。次に、対象地域の降水量の経年変動とアジアモンスーン活動との関連を調べるために、インド総降水量資料とこれらの地域の降水量変動との関係をモンスーン期の合計降水量についてだけでなく、夏季の各月について調べた。その結果、地域I)、II)の代表時系列はインド総降水量と、それぞれ負、正の相関が見られたことから、ここではこの2地域の夏季降水量の経年変動と大気大循環場との関連を、北半球の100hPa、500hPa高度及び地上気圧の偏差を使用して解析した。その結果、地域I)(タクラマカン砂漠)の夏季降水量の経年変動は、偏西風循環の風上側(大西洋~ユーラシア大陸)の偏差と関係し、多雨年にはトラフが90゜E付近に存在すること、また、チベット高気圧が多(小)雨年にはその東側で強く(弱く)なることがわかった。地域I)の6、7月の降水量はインド総降水量と負相関が見られた。この両地域の夏季降水量の経年変動の関係は中央アジア周辺の比較的局地的な循環場を介在していることが示唆された。一方、地域II)(黄土高原)の2-3年周期を呈する時系列は、6-9月の各月においてインド総降水量と正相関が見られた。対応する大循環場の変動は、太平洋高気圧、チベット高気圧、イラン周辺の地上気圧に見られた。これらは地域II)の夏季降水量の経年変動が、よりグローバルな、モンスーンに伴う大気海洋相互作用と密接な関わりがあることを示唆している。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 73 (5), 909-923, 1995

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (17)*注記

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参考文献 (49)*注記

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