ユリの胚培養培地の改良によるオリエンタルハイブリッド系とアジアティックハイブリッド系ユリの種間雑種の育成 Interspecific hybrids between Lilium 'Oriental' hybrid and L. 'Asiatic' hybrid produced by embryo culture with revised media

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著者

    • 浅野 義人 Asano Yoshito
    • 農業生物資源研究所:千葉大学園芸学部付属農場 National Institute ofAgrobiological Resouces:Faculty ofHorticulture, Chiba University
    • 大澤 勝次 Oosawa Katsuji
    • 農業生物資源研究所:茨城県農業総合センター生物工学研究所 National Institute ofAgrobiological Resouces:Plant-Biotechnology Institute, Ibaraki Agricultural Center

抄録

オニユリ,エゾスカシユリ等の交雑から育成されたアジアティックハイブリッド(以下AH)は豊富な花色や栽培が容易な特性を持つ.一方,ヤマユリ,カノコユリ等の交雑から育成されたオリエンタルハイブリッド(以下OH)は大輪で香りのある花を持つ.これら2つの品種群はユリ類の中ではともに重要な品種群であり,相互に優良形質を導入することが望まれているが,この品種群間の交雑は極めて困難とされてきた.また,ユリの遠縁交雑では,胚が形成されてもその大きさは極めて小さく,胚培養での培養成功率は低い場合が多い.そこで,摘出胚(0.1〜2.0mm)に対する糖・植物ホルモン,アミノ酸の効果を検討し胚培養成功率の向上を図るとともに,その改良した培地を用いて上記品種群間の雑種育成を図った.OHの品種間交雑胚は,3%薦糖を含む培地では全く生長しなかったが,6,12%の薦糖を含む培地および4%照糖,4%マンニトール,4%ソルビトールを同時に含む培地で高率に生長した.AHの交雑胚は,3%薦糖を含む培地でも交雑胚の生長がある程度見られたが,高濃度の糖を含む培地で生長が著しく促進された.高精濃度区の胚の生存率は,培養7週間後の48.1〜94.1%から培養5ヵ月後には9.1〜70.0%に低下した.特にAHの12%薦糖区の生存率は,84.8%から9.1%に著しく低下した.OHの種間交雑胚1`カサブランカ'×(ヤマユリ×タモトユリ)1を3,6,9%蔗糖を含む培地で培養したところ,9%蔗糖区では胚の異常生長や生育停止が見られ,生存率は比較的低く,5ヵ月後の生存率はそれぞれ2.8,36.7,16.7%であった.品種間および種間交雑の結果を考え合わせると,本試験で扱った交雑胚に対する最適薦糖濃度は6%であると思われた.薦糖とマンニトールを加えた培地においても,高率に胚の生長がみられた.9%薦糖区と,ほぼ同モル数の糖(照糖+マンニトール)を含む区を比較すると,後者において胚の奇形発生率が低く生存率が高い傾向にあった.3%薦糖区および高精濃度区に各種植物ホルモン,プロリン,カゼイン加水分解物を添加したところ,両区とも胚の生存率は向上しなかった.ピクロラム0.01〜1mg/l,BA0.02,O.2mg/l,およびこれらを組み合わせて添加したところ,胚の肥厚や湾曲などの奇形が見られた.花柱切断受粉を用いたOH(♀)とAH(♂)の交雑では,花粉管が子房に侵入したが,逆交雑では花粉管の伸長は著しく阻害され子房への侵入は見られなかった.交配した57花中,44花が結実し,全部で0.1〜0.8mmの大きさの106個の胚が得られた.得られた胚を培養したところ,3%薦糖区では胚の生長は見られなかったが,4%薦糖,4%マンニトール,4%ソルビトールを添加した区では,胚の生長が見られ植物体が得られた.この植物は,葉の形態特徴や酸性フォスファターゼアイソザイムの分析によって雑種であると判定された.OHとAHの雑種が育成できたとする報告は一例あるものの,育成個体の雑種性が確認されていない.本実験では,改良した胚培養培地を用いることによってOHとAH間の雑種を育成した.また育成個体の雑種性も明らかにした.

The effects of sugars, phytohormones and amino acids were examined on the growth of excised embryos from compatible crosses in 'Oriental' hybrids (Lilium 'Casablanca' ×L. 'Stargazer') and in 'Asiatic' hybrids (L. 'Connecticut King' ×L. 'Capri'), and also from incompatible crosses of L. 'Casablanca' × L. 'Connecticut King' and L. 'Casablanca' ×(L. auratum × L. nobilissimum ). Embryos obtained from the crosses of the 'Oriental' hybrids could grow on the medium containing more than 3 % sucrose, but not on the medium containing 3 % sucrose irrespective of the addition of phytohormones and amino acids. Similary a higher concentration of sugar was necessary to culture the 'Asiatic' hybrid embryos. The optimum sucrose concentration is considered to be 6 %, since most of embryos on media containing 9 % and 12 % sucrose formed abnormal shoots or stopped growing within two or three months of the culture. When sucrose was partially replaced by mannitol, the survival rate was similar or increased. Addition of mannitol is recommended to adjust a high osmotic pressure of medium. Cytokinins and higher concentration of auxins induced abnormal growth of embryos. Amino acids did not affect growth of embryos. The plants from the cross between an 'Oriental' hybrid and an 'Asiatic' hybrid were obtained on the medium with high osmotic pressure, and these were confirmed to be hybrids by leaf morphology, isozyme analysis and chromosome observation.

収録刊行物

  • 育種学雑誌

    育種学雑誌 44(1), 59-64, 1994-03-01

    日本育種学会

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    110001807760
  • NII書誌ID(NCID)
    AA11353132
  • 本文言語コード
    ENG
  • 資料種別
    雑誌論文
  • ISSN
    13447610
  • NDL 記事登録ID
    3869408
  • NDL 刊行物分類
    RB49(農産--園芸作物および栽培--花・観賞植物)
  • NDL 雑誌分類
    ZR6(科学技術--農林水産)
  • NDL 請求記号
    Z18-238
  • データ提供元
    CJP引用  NDL  NII-ELS 
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