化学の目で材料を見る(<特集>見てきたような分子のはなし : 暮らしの中のポリマー (I))

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タイトル別名
  • Materials on Chemical Vision
  • 化学の目で材料を見る
  • カガク ノ メ デ ザイリョウ オ ミル

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抄録

まさに日本人には物あまりの時代のようである。身の周りには, これでもかこれでもかと, あらゆるぜいたく品が満ちあふれでいる。お金が豊かな人たちは気楽にそれらを買いあさる。それはそれなりに, まあ, よしとしよう。ささやかなぜいたくが欲望を満たしてくれるのなら。しかし, ろくに使いもせずにぽいと捨ててしまうのはよくない。特に筆者のように戦争を体験した人間には, 捨てるために造られた一枚のポリ袋でも, これを手にすると万感の思いがつのるのである。いまここで, 資源, 物を大切にしようと教訓をたれようというのではない。なにげない一本の糸, 一枚の布に秘められた科学, 技術の奥深さに接するならば, 少なくとも化学を学ぼうとする若い人たちには, 百言をつらねる教訓よりも, "物"の持つ素晴しさ, 貴重さに感動し, さらに将来に向っで無限の楽しみと夢が生まれてくるはずである。

収録刊行物

  • 化学と教育

    化学と教育 37 (2), 131-135, 1989

    公益社団法人 日本化学会

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