都市における仲間集団 : 「橋」に群れる子どもたち

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抄録

彼らを見た大人の多くは、決して彼らを「好ましい」若者とは見ないであろう。黒っぽい服装、茶髪ならぬ金髪や赤髪、時には緑や青、そして、派手に隈取りをしたメイク、強引に立たせた髪。道路に座り込んでたむろし、時に奇声をあげ、あたりを走り回ることもある。未成年とおぼしき者の喫煙や飲酒。通行人は怪訝そうな顔をして遠回りし、外国人観光客はおもしろがってシャッターを切る。私が彼らと「つきあい」始めたのは、95年の11月のことである。以後、時間の許す限り、日曜の午後は原宿の「神宮橋」(彼らの用語で言う「橋」)に通い、彼らの行動を観察し、彼らの話題に耳を傾け、時には一緒に話の輪に加わり、まれには買い物につきあってみたり、といった具合に、彼らと過ごしてきた。そうした合間に、「なにげに」学校のことや家庭のこと、「橋」に来る理由等を尋ねてきた。今や、私の「橋」歴も2年近い。おかげで常連の一人になりつつあり、向うから声をかけてくれる「知り合い」も、毎日、数名はいる。とは言っても、新しく通うようになった若者とのコンタクトを図っていないこと、入れ替わりも激しいこと、等から、9割以上の若者の名前を知らない。

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