漸増運動による筋内pHの低下と過剰CO<SUB>2</SUB>排出量との関係

書誌事項

タイトル別名
  • RELATIONSHIP BETWEEN DECREMENT OF MUSCULAR pH AND CO<SUB>2</SUB> EXCESS DURING INCREMENTAL EXERCISE
  • 漸増運動による筋肉pHの低下と過剰CO2排出量との関係
  • ゼンゾウ ウンドウ ニ ヨル キンニク pH ノ テイカ ト カジョウ CO2

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抄録

本研究の目的は, 漸増運動時における過剰CO2排出量と細胞内pHとの関係を明らかにすることであった.被検者は健常な男子学生10名で1うち5名が陸上競技部に所属する短距離選手 (スプリンター群) , 残りの5名が週に3~4日定期的にジョギングを行なっている大学生 (ジョガー群) であった.被検者には自転車エルゴメーターによる漸増運動テストを行なわせ, 呼気ガス変量および31P NMRによる細胞内pHを測定した.<BR>結果の要約は次のとおりである.<BR>1) 漸増運動時におけるVT以下, VTからRCPまで, RCP以上でのVo2-Vco2 slopeは, スプリソター群でそれぞれ0.95±0.05, 1.21±0.11, 1.69±0.24, ジョガー群で0.95±0.06, 1.30±0.14, 1.76±0.18を示し, 両群間で有意差は認められなかった.<BR>2) CO2 excessの絶対値および相対値は, スプリンター群でそれぞれ2388±659ml, 36.2±8.5ml・kg-1, ジョガー群でそれぞれ2275±279ml, 40.3±6.3ml・kg-1を示し, 両群間で統計的な有意差は認められなかった.<BR>3) CO2 excess/W/ΔLaは, スプリンター群で4.50±0.14ml・kg-1・mmol-1l-1, ジョガー群で5.34±0.32ml・kg-1・mmol-1l-1であり, ジョガー群がスプリンター群より有意に高値を示した.<BR>4) 漸増運動による細胞内pHの低下は, スプリンター群で0.83±0.10 pH unit, ジョガー群で0.63±0.18 pH unitを示し, ジョガー群がスプリンター群より小である傾向を示したものの, 統計的には有意差は認められなかった.<BR>5) 漸増運動による細胞内pHの低下とCO2 excess/W/ΔLaとの間には, r=-0.792の有意な負の相関関係が認められた (p<0.01) .<BR>以上の結果から, より高いCO2 excess/W/ΔLaは, HCO3-系の緩衝効率が高いことを意味し, 運動による細胞内pHの低下を抑制する可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 体力科学

    体力科学 42 (1), 53-58, 1993

    一般社団法人日本体力医学会

被引用文献 (6)*注記

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