神経系よりみたTraining Effectについて

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タイトル別名
  • Training Effect as Viewed from Nervous System
  • シンケイケイ ヨリ ミタ Training Effect ニ ツイテ

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抄録

神経系より説明しうるtraining effectのもっとも簡単なのは, 心臓に対するvagotoniaの現象である. 心電図でみるとvagotoniaによってPQ-intervalの延長, 徐脈の順にくる. 心筋のhypertrophyは案外おそい. そしてvagotoniaが強くなると病的異常所見さえ出てくる. この現象は動物実験でもしめされている. 身体運動のtraining effectを神経系よりみるときは, powerの問題よりは, むしろskillの問題であろう. 運動の基本になる関節運動についてSherringtonらは, 筋中のproprioceptive sense organを媒介として, 柔軟性に対しては, 桔抗筋の緊張の交互変化であるreciprocal innervationを中心とするもの及び姿態(posture)については筋の長さによる伸筋のstretch reflexを基本とする脊髄反射によるintegrative action of nervous systemを確立した. また, Magnusらによって姿勢に対するneck reflexも確立された. 近代生理学において, intracellular electrodeによるENGによって, synapse作用の解明に多くの研究者が努力し, reflexの本性, また muscle spindleの efferent, afferent nerveによる feed back controlなども神経学的に明らかになった. 脊髄の研究がすすむと, さらに上位の神経系, cortexの研究にまで進んでくる. スポーツおよび体育運動はtrainingによるskillが要求される. 身体運動は, これらのreflexのprogramの上で行なわれる時柔軟性を持つが, 人間には創造があり新しい運動体型が生れてくる. そのprogrammerはcortexであり, ある場合にはこれらのreflexに反抗するprogramもありうる. それをtrainingによってreflexiveにする時, また新しい美しい体型が生れてくる. 中枢神経系の実験法をsportsphysiologyに応用するには, 現在未だ幼稚な段階といえる. しかしradio-telemeterを用い, かなり激しい運動中の脳波の実験も行なわれており, trainingの脳波上の変化も次第に求められつつある.

収録刊行物

  • 体育学研究

    体育学研究 20 (2), 67-77, 1975

    一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会

被引用文献 (1)*注記

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