運動時の胃内圧

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タイトル別名
  • STUDY ON HUMAN INTRAGASTRIC PRESSURE DURING EXERCISE
  • ウンドウジ ノ イ ナイアツ

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抄録

1) 運動時の胃内圧変化を知る目的で, radio capsuleによるテレメーター法により, 安静時, 深呼吸時, 努責時とともに, 体回転, ステッピング, 体前屈, 背屈, 側屈, 上体おこし, V字バランス, 15kgバーベル挙上時の胃内圧と呼吸変化を同時記録した。<BR>2) capsuleは, イギリス製E.I.L.Type D.70.圧測定用, 電池はMallory R.M.312H.1.4volt.アンテナは多方向性のものを用い, Selig Electro-Magnetics Ltd.製受信器の430KHz前後で受信した。<BR>3) capsuleの特性は, ガラス円筒内の37℃温水中の測定により決定し, 水圧と受信波長 (電圧) 関係が30~300cmH2Oでは10%以内の誤差で直線を示すと推定した。<BR>4) 30歳代男子3名を被検者とし, 早朝空腹時に1時間以内に終了するように実験を行なった。capsuleは3~4時間アルコールで消毒し, 0.5%ハイアミン液に20分浸漬した後水洗してのみこませた。<BR>5) 立.位安静時の胃内圧は, 一過性に50~60cmH2Oに上昇することもあるが, 30~33cmH2Oの律動性収縮で2~3秒の周期と3cmH2O以下の振幅をもつ波型を示した。この波型は, 深呼吸, 努責あるいは運動開始と同時に消失した。<BR>6) 体回転, ステッピングでは73.3~83.3cmH2Oの胃内圧を示したが, ステッピング時にはドリフトが多く測定困難なときもあった。体前屈時の最高胃「内圧は80.0cmH2Oであったが, 背屈時あるいは早い側屈を行わせたときは, それぞれ最高160.0cmH2O, 153.3cmH2Oの胃内圧を示した。<BR>7) 吸気終了時に上体おこしを行なったとき, 最高147.0cmH2Oの胃内圧を示した。V字バランス時の最高は126.6cmH2Oであった。<BR>8) Jerkで15kgのバーベル挙上時と努責時に170.0cmH2O (125mmHg) の高い胃内圧が観察された。Snatchで挙上した場合は120.0~123.0cmH2Oであった。<BR>9) 深呼吸時あるいは運動後安静回復時の呼吸曲線では, 多くの場合呼息期の1/2の時点で1~3秒下降 (呼息を示す) 曲線が平行になるか, 極めて僅かの上昇を示した。腹式深吸息時の胃内圧は最高76.6cmH2Oであった.<BR>10) staticな筋運動時における空腹胃内圧上昇の機序として, 吸息による腹筋緊張が, 皮膚受容器を刺激し, 皮膚―内臓反射径路によって胃壁筋の緊張が亢進することが考えられ, そのとき, 介在ニューロンに対する大脳皮質からの情報が大きく影響すると推察した。

収録刊行物

  • 体力科学

    体力科学 27 (3), 91-99, 1978

    一般社団法人日本体力医学会

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