妊婦における抗パルボウイルス抗体保有状況

書誌事項

タイトル別名
  • Prevalence of anti-human Parvovirus Antibody in Pregnant Women

この論文をさがす

抄録

ヒト・パルボウイルス(B19)は伝染性紅斑の原因ウイルスとして知られているが, 近年胎内感染により胎児水腫を惹き起こすことが報告され注目されている. しかし本邦では妊婦のB19抗体保有率などに関しては報告がない. われわれはすでに報告した間接螢光抗体法を用いて本邦における一般人の抗体保有状況, 正常妊婦の抗体保有率, 初期流産した妊婦や非免疫性胎児水腫(NIHF)例の抗体陽性率について検討した. 16~64歳までの一般人(献血者)の抗B19・IgG抗体陽性率は47%であったが, 21~30歳で22%, 31~40歳で44%, 41~50歳で65%, 51~60歳で76%と年齢と共に上昇した. 正常妊婦329名では抗B19・IgG抗体陽性率が33%であったが, 一般人と同様に21~30歳で26%, 31~40歳で44%と年代で有意差が認められた. すなわち20代の妊婦で約3/4, 30代の妊婦で約1/2が抗B19抗体陰性で妊娠中にB19感染の危険があるといえる. 初期流産23例中IgG抗体陽性は9例(39.1%)であった. 妊婦で6例のIgM陽性例が見つかったが, 1例が人工妊娠中絶, 1例が自然流産, 4例が自然分娩で胎児水腫となった症例はなかった. またNIHF24例でIgG抗体陽性が4例あったがIgM陽性例やIgG抗体価が上昇したり陽転した症例はなかった. 今回の調査ではB19感染とNIHFの因果関係を証明できた症例はなかったが今後さらに症例を集め検討する必要がある.

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ