子宮内膜培養細胞におけるCA125産生動態に関する研究 −正所内膜と異所内膜の比較−

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  • An in vitro Study on the Mechanism of CA125 Production of Endometrial Cells : Comparison of Eutopic and Heterotopic Endometrium

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抄録

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子宮腺筋症における高CA125血症の原因を検討するため, 正所および異所子宮内膜細胞を腺管上皮細胞と間質細胞とに分離, 培養し, フローサイトメトリー(以下FCMと略す)を用いて細胞周期とCA125産生能との関係を比較検討した. 1. Satyaswaroop et al.の方法をmodifyして正所および異所子宮内膜細胞を腺管上皮細胞と間質細胞に分離, 培養した. 2. 初代培養における子宮内膜細胞の増殖曲線は, 培養開始後48時間は細胞数の減少を認め, その後対数増殖期に入った. 腺管上皮細胞は培養開始後10~14日で, 間質細胞は約7日でfull sheetに達した. 3. 位相差顕微鏡による形態学的観察では, 腺管上皮細胞はおたまじやくし状を呈するのに対し, 間質細胞は紡錘状を呈しており両者は明らかに区別された. しかし, 正所と異所の形態学的区別は困難であった. 4. 子宮内膜培養細胞におけるCA125免疫染色(酵素抗体間接法)では, 正所および異所子宮内膜腺管上皮細胞は細胞膜と細胞質に染色されたが, 間質細胞では正所も異所も染色されなかった. しかし, 螢光抗体間接法では, 間質細胞にもCA125が弱陽性に染色された. 5. CA125とDNAの2重染色を行い, FCMで解析した結果, 正所および異所子宮内膜腺管上皮細胞のCA125産生能はG_0期の細胞がcell cycleに介入する時期のみならず, S期, G_2/M期の細胞が増加する対数増殖期にも亢進していた. また, 異所子宮内膜腺管上皮細胞のCA125産生能は, 正所子宮内膜腺管上皮細胞に比べG_0/G_1期がほとんどを占める定常期で最高約16倍(培養12日目)と高かった. しかし, 間質細胞では正所, 異所を問わずCA125陽性細胞はたかだか8%未満であり, CA125産生能も低かった. 以上の結果より, 子宮腺筋症患者が高CA125血症を呈する理由として, 正所子宮内膜腺管上皮細胞に加え異所子宮内膜腺管上皮細胞からもCA125が産生され, かつその産生能亢進による相乗効果が示唆された.

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