腸管血管腫による新生児回腸狭窄症の1治験例

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タイトル別名
  • A Case of Neonatal Heal Stenosis Caused by an Intestinal Vascular Tumor

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抄録

腸管血管腫に起因する新生児回腸狭窄症の1例を経験した.日齢15日より腹部膨満と胆汁性嘔吐を認め,紹介入院となった.入院時,腹部単純 X 線写真で腹部全体に著明な拡張を伴った腸管ガス像と一部にニボーを認めた.入院後イレウス管を挿入し症状の改善を待って,イレウス管による小腸造影を繰り返したが,通過障害の原因は確定できなかった.臨床経過より小腸狭窄症の疑いにて開復手術を施行した. Treitz 靭帯より130cm の回腸,腸間膜に約15 cm にわたり,小血管の著明な増生が認められ,これが原因となって全周性の狭窄をきたしていたものと考えられた.手術は病変部の回腸と腸間腹を切除し,腸管再建は端々吻合とした.組織学的に病変部は,腸管全層及び腸間膜に生じた毛細血管腫,海綿状血管腫,血管外皮腫の3者が混在した血管腫の像を呈していた.本症は血管腫により腸管狭窄をきたした稀な新生児症例と考えられた.小児の原因不明の,嘔吐,腹部膨満,消化管出血では,消化管血管腫の可能性も念頭に入れ,診断治療を行うべきと考えられた.

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