培養ラット胎仔肺胞II型細胞におけるジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)分泌能へのプロスタグランジンE_1およびリトドリンの影響

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  • The Effect of Prostaglandin E_1 and Ritodrine in the Secretion of Dipalmitoylphosphatidylcholine (DPPC) from Fetal Rat Type II Pneumocyte in Culture

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抄録

妊娠30週未満での早産例の中でも, 前期破水や絨毛膜羊膜炎の場合, 新生児呼吸窮迫症候群にならない新生児がいることから, これらの病態で肺サーファクタント分泌が早まる可能性が示唆される. それに関与する物質として, 前期破水例や絨毛膜羊膜炎の時に羊水中に増加するプロスタグランジン(prostaglandin;PG)を推定した. 肺胞II型細胞培養法および培養液中に分泌される肺サーファクタントリン脂質の主成分であるジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidylcholine;DPPC)の高性能液体クロマトグラフィーによる測定系を用いて, 肺胞II型細胞にPGを添加し, その細胞からのサーファクタントの分泌に影響を及ぼしているか否かを検討した. さらに, 切迫早産の時に子宮収縮抑制剤として使われているβ-促進剤であるリトドリンがサーファクタントの分泌にどのような影響を与えているかも検討した. PGE_1を添加した場合, 在胎18日目胎仔肺では, 培養2, 4, 6日目のいずれにおいても10^<-8>M添加群においてDPPC分泌量が増加する傾向を示し, ことに培養4日目では対照群で218.4±41.7(mean±S.E.)ng/10^6cells/2days, 10^<-9>M添加群で351.0±54.3, 10^<-8>M添加群で461.1±60.1といずれの添加群でも対照群と比較して有意な分泌促進効果が認められた. 在胎20日目の胎仔肺では, PGE_1 10^<-8>MでDPPC分泌量が増加する傾向を示したが有意差はなかった. リトドリン添加実験では, 在胎18日目, 20日目の胎仔肺を用いた培養実験で, 10^<-8>M, 10<-7>Mのそれぞれ添加した場合, 培養期間のいずれにおいても対照群に比しDPPC分泌量に変化は認められなかった. PGE_1は肺胞II型細胞に対してサーファクタント分泌促進効果を有しており, 一方リトドリンは肺胞II型細胞の肺サーファクタント分泌に対し, 直接的な刺激作用は有していないことが証明された.

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