「いきみ」を伴う陣痛の臨床生理学的研究

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  • Studies on Tecogram with Bearing-down Efforts during Labor : Analysis of Waveform and its Clinical Significance

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抄録

分娩が正常に進行中の産婦77例について,「「いきみ」を伴う陣痛が出現してから胎児が娩出するまでの間にわたって,子宮内厚(IUP),胎児産道間厚(PFB),外測陣痛(Ex. toc)等を同時に連続記録測定して,それらの波形を解析し,波形の特徴を見出し,これと分娩進行との関係について検討した. 1) 波形の分類:IUP曲線を用いていきみを伴う陣痛の波形を,その特徴によってType A,B,Cの3型に分類した.この波形分類はEx. toc.曲線とPFB曲線を用いても適用可能であった. 2) 波形の出現様式:3型の波形は分娩が進行するのに伴ってType A,B,Cの順に出現した.いきみを伴う陣痛が開始してから分娩終了までの陣痛の回数は,初産婦で平均43回(Type A:5.8回,Type B:19.7回,Type C:15.5回),経産婦で平均13回(Type A:2.0回,Type B:2.7回,Type C:7.6回)であった. 3) 各波形のパラメータの特徴:(a) IUPのpeak pressureはType A:14.4kPa,Type B:17.7kPa,Type C:23.5kPaと次第に増加した.PFBのそれはすべて約50kPaであった.いきみの部分の圧力はIUPもPFBもともにpeak pressureの約1/2であった.PFB/IUP比は2~3を示した.(b) IUPのPower spectrum解析ではType Bでみると0.01Hzと0.2Hzに大きなpowerが認められた.(c) IUPの圧力変化速度の波形を描くと,3型にそれぞれ特徴的な波形が認められた.(d) IUPとPFBの経時的相関図を描くとPFBは2~3倍高い圧力でIUPと直接的関係で変化した.1回のいきみについてその相関図を見ると,PFBがIUPよりも速く増加するloopを描いた.(e) 以上の解析から,児頭はいきみによって分娩第I期に比べて強い圧力でしかも速い圧力変化を受けていることが判った. 4) 各波形の臨床的特徴:いきみの3型別出現状況は,児頭の下降に従ってみてもType A,B,Cの順に出現した.

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