妊娠浮腫が母児の予後に与える影響

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  • The Influence of Gestational Edema on Maternal and Perinatal Outcome

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抄録

1981年1月から1982年12月までに九州大学医学部附属病院分娩部で管理した妊産婦の内, 高血圧, 腎疾患等血管病変の既往のない単胎妊娠例を対象として診療録をもとに, 妊婦にみられる浮腫の臨床的意義について検討を加え, 以下の結果を得た. 1. 浮腫を初発症状として妊娠中毒症を発症した例は全分娩数1,326例中214例(16%)であつた. 2. 浮腫を発症した症例の内, 初産では115例中99例(86%), 経産では99例中96例(97%)が浮腫のみで分娩にいたつた. 3. 浮腫の発症時期は, 妊娠35週から38週にピークがあり, 妊娠28週以後に発症する例が全体の94%を占めていた. 4. 妊娠28週未満に浮腫を発症した13例中5例(38.5%)で, その後, 高血圧, 蛋白尿が発症し, その内4例が重症化した. それに対し妊娠28週以後に浮腫を発症した201例中, 高血圧, 蛋白尿が発症したのは14例(7%)で, 重症化したのは1例のみであつた. 5. 浮腫のみ群と非浮腫群の新生児の転帰に関する比較では, 初産の浮腫のみ群で初産の非浮腫群に比べ出産体重が有意に重かつた他は有意差がなかつた. 以上の結果から, 妊婦の浮腫が母児の予後に与える影響は小さいが, 妊娠28週未満で発症する浮腫は, 妊娠28週以後に発症する浮腫に比較して, その後の妊娠経過で高血圧, 蛋白尿を発症するリスクが高いといえる.

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