キツネノボクンハモグリバエの色彩型を決定する要因

書誌事項

タイトル別名
  • FACTORS DETERMINING THE COLOUR FORMS OF THE RANUNCULUS LEAF-MINER, PHYTOMYZA RANUNCULI (SCHRANK) (AGROMYZIDAE, DIPTERA)
  • キツネノボタンハモグリバエの色彩型を決定する要因〔英文〕
  • キツネノボタンハモグリバエ ノ シキサイガタ オ ケッテイスル ヨウイン エイ

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抄録

キツネノボタンの葉内に幼虫が潜孔するキツネノボタンハモグリバエPhytomyza ranunculiには,多くの亜種または型が知られているが,それらは中胸背板の色彩によって黄色型と黒色型とに大別できる。すなわち,前者の中胸背板は全体黄色ないしは灰黒色の3縦線を有し,後者のそれは全体黒色である。早春に現われる越冬世代の成虫には黒色型のものが優勢であり,第1世代以降の成虫はほとんど黄色型であることから,本種の色彩多型出現に関与する環境要因を明らかにする目的で実験を行なった。その結果,幼虫およびさなぎ期間が低温(10°〜15℃)であるとき黒色型成虫が非常に多く現われ,20℃以上の高温ではほとんど全てのものが黄色型になる。さらに,幼虫期に遭遇した温度(15℃または20℃)よりも低温(10℃)でさなぎ期を経過するときは黒色型が,逆の変温では黄色型が明らかに多く出現する。したがって,さなぎ期の温度によって黒化程度が決定されることがわかる。一方,寄生植物や葉あたりの幼虫密度は色彩型出現に何等関与しない。日長も中脳背板の黒化に対しては関係がないが,短日条件(9時間照明)は頭頂部のごく狭い部分の黒化に関与する。なお,幼虫,さなぎおよび成虫の発育期間について,両型間に有意差がみられない。

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