Exopolysaccharideを産生する黒色色素産生グラム陰性桿菌について : その同定, 病原性およびexopolysaccharideの化学組成

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タイトル別名
  • Identification, pathogenesis and chemical composition of the exopolysaccharides of clinical isolates of exopolysaccharide-producing black-pigmented Gram-negative anaerobic rods
  • Exopolysaccharide オ サンセイ スル コクショク シキソ サンセイ グラム インセイカンキン ニ ツイテ ソノ ドウテイ ビョウゲンセイ オヨビ exopolysaccharide ノ カガク ソセイ

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抄録

黒色色素を産生する偏性嫌気性グラム陰性桿菌は, 口腔感染症の重要な病原細菌であると考えられている.我々は, 臨床分離の黒色色素産生性嫌気性グラム陰性桿菌の中に, exopolysaccharide(EPS)を産生し, 菌体間に網目状のバイオフィルム構造を有する株が存在することを報告してきた.口腔由来のバイオフィルム形成菌のEPS産生性は継代により失われることが多く, 病原性との関連についても不明の点が多い.本研究では, 黒色色素を産生する臨床分離の保存株を用いて, 粘性物質産生菌をスクリーニングし, その同定, 病原性, 粘性物質の化学組成について解析した.教室保存の黒色色素産生菌74株の培養菌液の粘度を測定したところ, 粘性物質高産生株2株(OD 1-2, OD 1-16)が得られた.2株は, 生化学的, DNA解析による同定の結果, Prevotella intermedia (P. intermedia)であった.SEM観察では, 両者にバイオフィルム形成菌に特徴的な網目状構造がみられた.Strain OD 1-16の培養菌液より精製した粘性物質は, マンノースを主とする多糖であることが判明した.Strain OD 1-16のマウスにおける膿瘍形成誘導能を, 粘性物質低産生のP. intermedia ATCC 25611と比較した結果, strain OD 1-16の方が100〜1,000倍強い膿瘍形成能を示した.両者の好中球貪食抵抗性をin vivo, in vitroで検討したところ, strain OD 1-16において強い抵抗性が観察された.今回の研究結果から, 臨床より分離されたP. intermediaの中にはマンノースを主とするEPS産生性を保持しているものが存在することが確認された.好中球の貪食に対して抵抗を示し, 低産生株と比較して強い膿瘍形成誘導能をもつことから, 単独でバイオフィルム感染症の原因となる可能性も示唆された.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 68 (3_4), 241-252, 2005

    大阪歯科学会

被引用文献 (13)*注記

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参考文献 (76)*注記

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