成人気管支喘息患者の血清中および血漿中ECP (Eosinophil Cationic Protein) 濃度についての基礎的検討

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タイトル別名
  • A BASIC STUDY ON THE PLASMA AND SERUM LEVELS OF EOSINOPHIL CATIONIC PROTEIN (ECP) IN BRONCHIAL ASTHMA

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抄録

気管支喘息における好酸球活性化の指標として, 血中ECP (eosinophil cationic protein)濃度につき基礎的検討を行った. (1) ガラス採血管で採血2時間後に1500×g, 4℃, 10分間遠心分離して得た血清中のECP濃度および末梢血好酸球数は, 正常人に比し喘息患者で有意に高値を示し, また両者の相関は正常人で存在したが喘息患者では認められなかったことから, 喘息患者では好酸球活性化の程度が症例によって異なり, 血中ECP濃度に反映されているものと考えられた. (2) 血漿値と血清値の比較では, 正常人, 喘息患者ともに血清の方が高値をとり, 喘息患者においては, 両者の相関は弱く, 一部の症例で血清値が著明に上昇し, 発作時には血漿値のみ有意に上昇した. したがって今後, 血清値のみならず血漿値および血漿・血清濃度差にも注目する必要があると考えられた. (3) ECPの血漿・血清濃度差の由来については, α_2-macroglobulinの影響以外に, 刺激血小板上清によって好酸球からのECP放出がみられたことより, 採血後の血液凝固の過程で好酸球から新たなECPが放出されることも原因となる可能性が挙げられた.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 40 (10), 1282-1288, 1991

    一般社団法人 日本アレルギー学会

被引用文献 (1)*注記

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