頸部結核性リンパ節炎による食道リンパ節瘻の1例

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タイトル別名
  • A Case of Esophagolymphnodal Fistula due to Tuberculous Cervical Lymphadenitis

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抄録

症例は79歳の女性で, 平成16年1月頃より嚥下時違和感が出現した.前医で上部消化管内視鏡検査を施行(GIF)し, 頸部食道癌疑いで当院に紹介された.GIFでは, 上切歯列16〜19cmの右壁に約3cm大の瘻孔形成を伴う深い潰瘍性病変を認めた.生検では強い炎症所見を伴う肉芽組織を認めた.CTでは101Rにリンパ節腫大を認め, 食道との間に瘻孔を形成していた.喀痰培養検査ではMRSA・緑膿菌が陽性, 抗酸菌染色検査は陰性.悪性所見が否定できないため, 6月上旬に手術を施行した.食道壁に切開を加えた直視下の生検では, 肉芽腫性の炎症所見で, 抗酸菌染色検査が陽性であった.結核性リンパ節炎による食道への瘻孔形成と判断し, 手術を終了した.本症例はリンパ節転移を伴う頸部食道癌の画像所見と類似した結核性頸部リンパ節炎であり, 癌の確診がつかない場合, 結核性病変の可能性も十分考慮すべきである.

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