太平洋戦争中の東京都の猛獣処分に関連するアジアゾウの遺体について

  • 遠藤 秀紀
    国立科学博物館動物研究部
  • 林 良博
    東京大学大学院農学生命科学研究科獣医解剖学教室
  • 山際 大志郎
    東京大学大学院農学生命科学研究科獣医解剖学教室
  • 鯉江 洋
    日本大学生物資源科学部総合臨床獣医学研究室
  • 山谷 吉樹
    日本大学生物資源科学部総合臨床獣医学研究室
  • 木村 順平
    日本大学生物資源科学部獣医解剖学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Carcasses of the Asian Elephant Killed in Ueno Zoo during the Pacific War

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抄録

太平洋戦争中の東京都によるいわゆる猛獣処分によって, 3頭のアジアゾウが殺処分となったことは, よく知られている。これら3頭のゾウに関しては, 東京大学や国立科学博物館などに遺体の一部が残されている可能性が示唆されていた。本研究では, 3頭のアジアゾウの遺体に関し, 文献と聞き取り調査を行うとともに, 関連が疑われる東京大学農学部収蔵の下顎骨に関しては, X線撮影による年齢査定を進めて処分個体との異同を検討した。その結果, 東京大学農学部に残された下顎骨は他個体のものである可能性が強く, 戦後発掘され国立科学博物館に移送された部分骨は標本化されなかったことが明らかになった。したがって, 東京都恩賜上野動物園に残る雄の切歯を除き, 該当する3頭の遺体は後世に残されることがなかったと判断された。また遺体から残された形態学的研究成果は, 剖検現場の懸命の努力を物語っていたが, 研究水準はけっして高いとはいえず, 十分な歴史的評価を与えることはできなかった。

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被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (22)*注記

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