膵癌および肝細胞癌における白血球粘着阻止試験の検討

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  • Evaluation of Leucocyte Adherence Inhibition as an Immunodiagnostic Test for Pancreatic Carcinoma and Hepatocellular Carcinoma
  • スイガン オヨビ カン サイボウ ガン ニ オケル ハッケッキュウ ネンチャク

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抄録

膵癌および肝細胞癌患者についてナイロンファイバー・カラムを用いて白血球粘着阻止試験(Leucocyte adherence inhibition test, 以下LAI試験)を施行した。患者白血球浮遊液に癌抽出抗原を加えて37℃にインキュベートした後, カラムに流し, 通過前後の多形核白血球数を数え, 白血球粘着率を算出した。PBS (phosphate buffered saline)または正常組織抽出液を用いた対照の粘着率との比をLAI指数(LAI Index)とした。膵癌20例の平均LAI Indexは0.73±0.19で, 対照とした正常13例, 慢性膵炎11例, 膵癌以外の癌15例より有意に低値であった(P<0.01)。正常例の平均LAI Index-2 SD, すなわち0.77以下をLAI試験陽性とした。膵癌20例中13例(65%)が陽性であった。膵偽のう胞, 十二指腸乳頭部癌, 腎癌の各1例が偽陽性を呈した。肝細胞癌20例の平均LAI Indexは0.58±0.23で対照とした正常11例, 肝硬変12例, その他の消化器癌8例より有意に低値であった(それぞれP<0.01, P<0.01, P<0.05)。同様に平均LAI Index-2 SDすなわち0.57以下をLAI試験陽性とした。肝細胞癌20例中11例(55%)が陽性であった。偽陽性例はなかった。以上より, LAI試験は癌特異性を有し, 診断に有用であった。PPDおよびPHA皮膚反応陽性群のLAI Indexは皮膚反応陰性群のLAI Indexよりも低値(LAI陽性)の傾向を示した。CEA, AFP, HBsAgとの間にはとくに相関はなかった。LAI試験陽性例の腫瘍局所の単核細胞浸潤の程度はLAI試験陰性例に比して強い傾向がみられた。Edmondson分類による異型度と肝細胞癌のLAI陽性率とはとくに相関はみられなかった。

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