縦隔・肺門リンパ節結核の 1 例 : 治療前後での気管支肺胞洗浄所見の検討

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タイトル別名
  • Comparison of Bronchoalveolar Lavage Fluid Findings Before and After Anti-Tuberculous Chemotherapy in a Case of Mediastinal and Hilar Tuberculous Lymphadenitis

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抄録

症例は34歳, 女性。胸部不快感で受診した。身体所見では, 右鎖骨上リンパ節の腫大を認め, 胸部単純X線写真で, 上縦隔及び両側肺門陰影の拡大を, 胸部CT検査では, 縦隔リンパ節及び両側肺門リンパ節腫大を認め, 肺野には異常陰影を認めなかった。気管支鏡検査では, 右上葉気管支入口部で毛細血管怒張像を認め, 気管支肺胞洗浄では, 総細胞数の増加, リンパ球の増加, OKT_4/OKT_8比7.13と増加し, 結核菌の培養検査は陰性であった。本例はサルコイドーシスとの鑑別が問題となったが, 右鎖骨上リンパ節生検により, 中心壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫を認め, 抗酸菌染色で陽性の桿菌を認めたため, 縦隔・肺門リンパ節結核と診断した。抗結核薬により, 鎖骨上及び縦隔・肺門リンパ節腫大は軽快した。8ヵ月後の気管支肺胞洗浄では, 総細胞数は正常化し, OKT_4/OKT_8比は0.26と低下していた。肺野及び気管支に結核性病変がないと考えられた縦隔・肺門リンパ節結核でも, 非病変部の肺局所に免疫・炎症反応が認められ, 治療により変化すると考えられた。

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 17 (7), 634-640, 1995

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

参考文献 (11)*注記

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