経気管支鏡的採取標本における肺癌遺伝子異常の解析(気管支鏡による診断と治療 : その新たなる展開)(第 18 回日本気管支学会総会特集号)

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抄録

気管支鏡検査によって得られる材料を用いて, 肺癌の遺伝子異常の治療前診断を試みた。細胞診により悪性細胞の存在を確認しえた60症例132検体からDNAを抽出し, Southern Blot法により, myc遺伝子増幅の有無ならびにテロメア長の測定をおこなった。またpolymerase chain reaction-restriction fragment length polymorphism (PCR-RFLP)法により, ras遺伝子の点突然変異の検索を, PCR-denaturing gradient gel electrophoresis (PCR-DGGE)法を用いてExon 3から9の領域におけるp53遺伝子の変異を検索した。60例中12例(20%)にテロメア長の変化を, p53遺伝子の変異は25例(42%), 2例(3%)にc-myc遺伝子の増幅を, 腺癌26例中3例(12%)にK-ras遺伝子の点突然変異を認めた。肺癌のこれらの遺伝子異常の治療前診断は, 肺癌の生物学的特性の理解の一助となる可能性が示唆された。

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 17 (8), 691-694, 1995

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

参考文献 (10)*注記

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