喀血症例に対する手術療法の適応と方法(<ミニ特集>気道出血(喀血)の対応)

  • 遠藤俊輔
    自治医科大学外科学講座呼吸器外科学部門
  • 手塚憲志
    自治医科大学外科学講座呼吸器外科学部門
  • 長谷川剛
    自治医科大学外科学講座呼吸器外科学部門
  • 佐藤幸夫
    自治医科大学外科学講座呼吸器外科学部門
  • 蘇原泰則
    自治医科大学外科学講座呼吸器外科学部門

書誌事項

タイトル別名
  • Massive Hemoptysis of Benign Pulmonary Etiology:Review of Surgical and Modern Therapeutic Strategies

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抄録

大量喀血例は呼吸器疾患に携わる医師にとって瞬時の対応が迫られる状態である.外科治療が致死率を大幅に減少させるのは事実で,救命だけでなく原疾患の治療においても最も確実な手段である.我々の経験や最近の報告を参考に,CTや血管造影所見と病理所見に基づいた各々の手術適応を検討した.我々臨床医はまず救命のための気道確保を行った上で,出血源を同定することが重要である.出血源がCT上,空洞形成していたり,血管造影上多数の流入動脈がみられたり,アスペルギルスを疑わせるような菌球がみられれば,手術療法を考慮する.結核,放線菌,アスペルギルスなどによる壊死性肺炎の所見がCTで疑われた場合,保存的に喀血をコントロールし,原因菌の同定とそれに対する薬物治療を優先させるべきである.肺分画症などの血管奇形は血管造影で診断は容易で,異物による出血は,画像診断が困難で詳細な病歴聴取が診断の決め手となる.どちらも手術を考慮すべきである.近年,抗真菌剤の開発,カテーテルや塞栓材料の開発により,手術に限らず,最適な治療を患者に提供する時代が来ている.そのためには呼吸器系の内科医,外科医及び放射線科医の密接な連携が必要となる.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 26 (7), 614-620, 2004

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (33)*注記

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