生活宗教としてのキリシタン信仰(<特集>「生活の宗教」としてのキリスト教)

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タイトル別名
  • Christian Faith as Life Religion(<Special Issue>Christianity in Practice)
  • 生活宗教としてのキリシタン信仰
  • セイカツ シュウキョウ ト シテ ノ キリシタン シンコウ

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抄録

江戸幕府のキリシタン禁教によって、キリスト教邪教観は日本人の間に強烈に定着し、差別がなくなったのは戦後のことである。一方、キリスト教は明治以降、文明開化の象徴として、進んだもの、高級なものとして都市部のインテリ層を中心に受け入れられた。従来キリシタン研究に関しては、教義の問題、布教史、殉教史が中心であり、キリシタン民衆の日常生活にはほとんど触れられてこなかった。本稿では、伝来初期より潜伏時代を経て幕末にいたるキリシタン信徒、現存する長崎県下生月島のカタレキリシタン信徒の日常的な信仰生活を紹介する。結論として、改宗者の日常的信仰の姿から見えてくるのは、日本の神仏との相違を十分に認識して改宗したというよりは、天竺渡りの「力ある神」としてキリスト教を受けとめたということである。彼らの信仰の根底には、常に変わることのない呪術的な現世利益信仰が一貫して存在したということである。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 77 (2), 243-268, 2003

    日本宗教学会

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