宗教学とイスラーム研究 : 規範的アプローチの構築のための準備作業(<特集>イスラームと宗教研究)

書誌事項

タイトル別名
  • Religious Studies and Islamic Studies : Toward the Normative Approach(<Special Issue>Islam and Religious Studies)
  • 宗教学とイスラーム研究--規範的アプローチの構築のための準備作業
  • シュウキョウガク ト イスラーム ケンキュウ キハンテキ アプローチ ノ コウチク ノ タメ ノ ジュンビ サギョウ

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抄録

西欧の宗教学は「神学」を出自とする。他方、イスラーム世界にはそもそも「神学」は存在せず、イスラーム学とは「宗教学」であった。しかるに西欧の宗教学はこのイスラームの「宗教学」を包摂する道を選ばず、かえってイスラームに「イスラーム研究(東洋学、地域研究)」という別の専攻を割り当て、イスラームを視野に収めることなくその「宗教」概念を構築してきた。こうして形成された西欧の宗教学もイスラーム研究も価値中立的な客観的記述を標榜するが、実はイスラームの真理性要求の拒否を無自覚な規範的前提としている。本稿は、言語の規範性の本質にまで遡り、イスラーム研究における規範主義的アプローチの必要/必然性を基礎付け、「イスラーム」の辞書的意味から出発して、「真のイスラーム」と「偽のイスラーム」の識別をこととし、伝統イスラーム学との接合、イスラーム世界との対話を可能ならしめる新しいイスラーム研究のパラダイムを提示する。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 78 (2), 243-267, 2004

    日本宗教学会

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