『清浄道論』における「智慧の修習」の成立 : ブッダゴーサの編集作業と「智慧の修習」の構造

書誌事項

タイトル別名
  • On "the Development of Wisdom" in the Visuddhimagga : Buddhaghosa's Editorial Method and the Structure of the Practice for Wisdom
  • ショウジョウドウロン ニ オケル チエ ノ シュウシュウ ノ セイリツ ブッダゴーサ ノ ヘンシュウ サギョウ ト チエ ノ シュウシュウ ノ コウゾウ

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抄録

『清浄道論』は紀元後五世紀前半に活躍したブッダゴーサにより著された。先行研究によれば、ブッダゴーサは、『清浄道論』を著すに際して、ウパティッサ作『解脱道論』を参考にしたとされる。しかし、これまで顧みられなかったブッダゴーサの編集方法を調査することによって、次のことが明らかになる。ブッダゴーサは単に『解脱道論』を踏襲しただけではなく、『解脱道論』には存在しない「三種の完全知」という概念を『清浄道論』に導入し、「三種の完全知」の構造に沿って『解脱道論』を取捨・改変・増広して『清浄道論』の「智慧修習論」を編纂した。その結果、「四諦」観察を重視する『解脱道論』に対し、『清浄道論』は「無常・苦・無我」や「空」の観察を中心とすることとなった。ブッダゴーサの編集作業によって確立した「三種の完全知」がスリランカや東南アジアに広まる「テーラヴァーダ仏教」の正統的な修行方法を代表し、その思想的特質を端的に示すものとなったのである。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 79 (1), 49-71, 2005

    日本宗教学会

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