河畔林の河川水温への影響に関する熱収支的考察

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  • Estimation of the effect of riparian forest on stream temperature based on heat budget
  • カハン リン ノ カセン スイオン エ ノ エイキョウ ニ カンスル ネツ シ

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抄録

河川水温の変化が生物相とくに魚類に与える影響は甚大であり,河畔林樹冠カバー効果と河川水温の関係を定量的に把握する必要がある。そこで,調査対象渓流として小流量・緩勾配の幌内川を選び,春期および夏期の熱収支項目を測定した。夏期期間は潜熱・顕熱伝達量ともに日中・夜間を通じて正の値,すなわち水体べ熱量が加えられていた。また全天日射量は,総量で樹冠下日射量の7倍に達しており,他の熱収支項目を圧倒した。河畔林を伐採した場合,この全天日射量が河川水面に直達すると仮定し,水温変動の推定を試みた。これにより,日最高水温は4°C程度上昇すると推測され,落葉期で水面熱収支の同程度である5月上旬の水温変動と比較した結果,ほぼ妥当な値であることが判明した。河畔林樹冠の日射遮断効果は,下流へ向かって河幅(流路幅)が増大するほど相対的に小さくなると考えられ,樹高・樹冠と河幅の関係から検討し,遮断効果の及ぶ河幅の概算値を提示した。

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