森林集水域での土壌から渓流への水質変化

• 大類 清和

  東京農工大学農学部

• 生原 喜久雄

  東京農工大学農学部

• 相場 芳憲

  東京農工大学農学部

書誌事項

タイトル別名

• Changes in chemical characteristics of water from soil to stream in forest watersheds
• シンリン シュウスイイキ デ ノ ドジョウ カラ ケイリュウ エ ノ スイシツ

抄録

スギ・ヒノキからなる五つの小集水域において,土壌水や渓流の水質調査を行い,土壌から渓流への水質変化過程について検討した。調査地は群馬県の渡良瀬川上流に位置する東京農工大学演習林内の小集水域である。土壌水から渓流水へとイオン組成が大きく変化し,とくにNa⁺とHCO₃^-の著しい濃度上昇がみられた。pHは土壌水では場所により4～7程度の値であったが,渓流水はどの小集水域でも7前後であった。Al³⁺の溶出はpH4.8付近以下で顕著にみられた。 pH4.8以上では,土壌水,渓流水ともCa²⁺濃度は主要陰イオン合計(Cl^-+NO₃^-+SO₄^2-+HCO₃^-) の濃度と強い正の相関関係がみられたが,主要陰イオン合計の濃度が同じでも土壌水に比べ渓流水でCa²⁺濃度は低かった。 pH4.8以上ではSiO₂濃度はHCO₃^-濃度およびpHと正の相関関係がみられ,とくに渓流水はこれらの値が高く,母材風化による影響を強く受けていることが示唆された。 pH4.8未満では,逆にSiO₂濃度はpHと負の相関関係がみられ,またH⁺濃度はNO₃^-濃度と正の相関関係があり,硝化作用などによるH⁺の著しい増加で粘土鉱物の破壊の促進が示唆された。

収録刊行物

• 日本林學會誌

  日本林學會誌 75 (5), 389-397, 1993

  日本森林学会

詳細情報

• CRID: 1390282681335957632
• NII論文ID: 110002830523
• NII論文ID: 10006071273
• NII書誌ID: AN00198561
• DOI: 10.11519/jjfs1953.75.5_389
• ISSN: 21858195
• ISSN: 0021485X
• NDL書誌ID: 3842225
• Web Site: https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030510853
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I3842225
• データソース種別:
  • JaLC
  • IRDB
  • NDL
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可