ヤツガタケトウヒとヒメバラモミの生育立地

  • 野手 啓行
    千葉大学大学院自然科学研究科 環境エンジニアリング株式会社環境テクノ事業部
  • 沖津 進
    千葉大学園芸学部緑地•環境学科
  • 百原 新
    千葉大学園芸学部緑地•環境学科

書誌事項

タイトル別名
  • Habitat of <I>Picea koyamai</I> Shirasawa and <I>Picea maximowiczii</I> Regel ex Mast
  • ヤツガタケトウヒ ト ヒメバラモミ ノ セイイク リッチ

この論文をさがす

抄録

ヤツガタケトウヒとヒメバラモミの生育立地の特性を,それらと混生する樹種の立地と比較することにより明らかにした。赤石山脈北西部巫女淵山中(標高1,300~1,800m)の64地点で,四分法調査,斜面傾斜と露岩被度の計測,実生調査を行った。64地点全体における胸高断面積合計比ではコメツガが25%で最も優占し,ウラジロモミが続いた。ヤツガタケトウヒとヒメバラモミは,いずれも14%程度を占めるにすぎず,分布が斜面傾斜36°以上,露岩被度31%以上の岩塊急斜面にほぼ限られた。これに対し,コメツガの分布は斜面傾斜,露岩被度に関係なく一様であった。ウラジロモミは露岩被度20%以下の腐植土が被覆する立地に集中した。一方,実生についてみると,ヤツガタケトウヒとヒメバラモミは母樹周辺の露岩面上に集中した。コメツガは腐朽倒木•根株上に,ウラジロモミは腐植土面上にそれぞれ多かった。以上より,ヤツガタケトウヒとヒメバラモミは,種子散布が母樹周辺に限られることと実生の定着が露岩面上にほぼ限られることによって,岩塊急斜面以外の地形では個体群の維持が困難であると考えられた。

収録刊行物

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (60)*注記

もっと見る

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ