人工林生態系における植物種多様性

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  • A review of ecological studies on plant species diversity in plantation ecosystems.
  • ジンコウリン セイタイケイ ニ オケル ショクブツシュ タヨウセイ

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抄録

人工林に生育する維管束植物種の種多様性や植生変化を論じた研究について解説し, ランドスケープレベルでの管理をはじめとした今後の生態的な人工林管理についての展望を述べた。人工林は, 植栽以降の時間経過に伴い, 様々な植物種が侵入し植生が再生する二次遷移プロセスが進行するが, それは, 過去の撹乱の程度, 種子源からの距離植栽種の特徴, 林齢などに依存している。また, 動物によって種子が散布されることを契機とする侵入•再生プロセスも大きな役割を果たしている。人工林の植物種多様性の支配要因について, 植栽種, 植栽方法, 林分の発達および間伐等による林分構造の変化などの要因が種多様性に及ぼす影響について知見を整理した。人工林と他の森林タイプとの種多様度の比較に関しては, 人工林で高い場合と低い場合の両方が報告されている。しかしながら, 人工林は, 自然林とは全く異なった雑草群集, 広範囲に分布する植物種の好適なハビタットとなる場合が多い。木材生産への体系的な技術の集積に比較し, 人工林における種多様性の評価, その保全や復元, さらには人工林生態系における生物間相互作用に関する知見はあまりに乏しく, この分野の進展が望まれる。

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参考文献 (119)*注記

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