可変プロセッサ速度に対応した実時間処理の考察

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  • Real-time Processing for Power Managed Computers

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抄録

バッテリオペレーションを想定した携帯型計算機が急速に普及している.これらのシステムでは,低電圧動作の素子を採用したり,液晶パネルやハードディスク装置などは使用しない時に電源をオフにすることで消費電力の削減を行なっている.プロセッサは,その動作周波数に比例して消費電力が多くなる特性をもつため,初期のシステムでは性能の低いプロセッサしか採用できなかった.しかし,近年,デスクトップ機と同等の高性能プロセッサを採用し,動作周波数を動的に変更,設定できるようにしているシステムが登場している.つまり,処理能力を必要としない状態ではプロセッサの性能(動作周波数)を下げ消費電力を抑えようとしている.携帯型計算機上でもシステム性能の向上につれて連続メディア処理が行われるようになってきている.連続メディア処理の実現のためには,各メディアが持っている時間制約を満たすための実時間処理が必須である.しかし,従来の実時間処理では,今日の携帯型計算機で行われているような動的なプロセッサ動作速度制御を考慮していない.プロセッサの動作速度が下がると実時間タスクの処理時間が長くなり,デッドラインを満たせなくなることがある.また,ユーザは,OSやアプリケーションの動作とは独立にプロセッサ速度を下げる操作を行うことができるので,システムが突然,過負荷状態になってしまうこともある.この場合は従来のようなアドミッション制御が行えないし,通常の実時間スケジューリングだけでは対処できない.我々は,これらの問題を解決するための研究開発を行っている.動的にメディアの品質を制御(動的QOS制御)し,システム性能に適応するためのソフトウェア技術が特に重要である.本稿では,プロセッサの動作速度が動的に変化することを想定した場合の実時間処理手法について検討する.

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