自己硬化型アパタイトセメント : VIII. <sup>45</sup>Ca-アパタイトセメントの溶解と再石灰化

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タイトル別名
  • Self-setting Apatite Cement : VIII. Dissolution and Remineralization Behavior of <sup>45</sup>Ca-apatite Cement

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抄録

自己硬化型アパタイトセメントの核ならびにマトリックスアパタイトの溶解挙動を個々に検討する目的で, 硬化促進材として添加する核としてのアパタイトに45Caを標識したものと, マトリックスのアパタイトに45Caを標識したもののセメントペレットについて, 酢酸, 乳酸, クエン酸の有機酸中での溶解挙動, ならびに人工唾液中での再石灰化挙動について検討した.有機酸溶液で行なった1週間の溶解実験の結果より, 本セメントペレットの溶解性は, セメント練和後新たに生成したマトリックスとしてのアパタイト部分からの溶解の寄与が大きく, 核としてのアパタイトの部分からの溶解は極めて小さいことがわかった.一方, X線回折及び電顕観察により, 核としてのアパタイトとマトリックスとしてのアパタイトはその形状ならびに結晶性の点でほぼ同一であることが示され, このマトリックスアパタイト部の優先的な溶解は, 両者のアパタイトの位置関係に起因していることが示唆された.即ち, マトリックスアパタイトが核アパタイト表面に析出し, さらに核アパタイト全表面を被うようにして硬化しているため, 有機酸中では空間的に表層に位置するマトリックスアパタイトが優先的に溶解することが推論された.人工唾液中に45Caを導入した実験系では, 無標識のペレット導入後溶液中の45Ca濃度が経時的に減少し, 45Caがセメントペレットに取り込まれることより本セメントペレットが再石灰化することが確認できた.

収録刊行物

  • 歯科材料・器械

    歯科材料・器械 8 (6), 812-817, 1989

    一般社団法人 日本歯科理工学会

被引用文献 (4)*注記

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