尿道の自律神経支配に関する薬理学的研究

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  • STUDIES OF AUTONOMIC RECEPTOR FUNCTION IN CANINE URETHRA
  • ニョウドウ ノ ジリツ シンケイ シハイ ニ カンスル ヤクリガクテキ ケンキ

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抄録

自律神経の受容体機能について雌性成犬を実験材料として尿道切片を用いた生体外の張力測定方法と生体内の尿道内圧測定法によつて薬理学的に研究した. さらに膀胱充満時および排尿時における尿道内圧の変化に対する種々薬剤の影響についても検討した. 生体内薬剤投与は経静脈的に行なつた.<br>生体外の実験結果より尿道平滑筋には収縮性のα-受容体, 弛緩性のβ-受容体および収縮性のムスカリン様受容体が存在するがα-受容体が優位の状態にあると考えられた.<br>尿道内圧はα-刺激薬で上昇し, β-刺激薬で低下したがコリン作動薬では一定の変化を示さなかつた. またα-遮断薬および神経節遮断薬で低下したがβ-遮断薬および副交感神経遮断薬ではわずかの変化しか示さなかつた. これらの結果より静止時尿道内圧は主にα-受容体の興奮性によつて維持されていると考えられた.<br>尿道内圧は膀胱充満によつて上昇し, 排尿時には低下した. これらの反応は gallamine 処置によつて小さくなるが残存し, α-遮断薬処置で明らかに小さくなり, さらに両薬剤処置によつてほぼ消失した. β-遮断薬はこれらの反応に対して明らかな影響を示さなかつた. 以上の結果より蓄尿時および排尿時の尿道機能は尿道横紋筋のみならず尿道平滑筋によつても果され, 後者は主にα-受容体機構によつて支配されると考えられた.

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