精巣腫瘍の年代差および地域差

書誌事項

タイトル別名
  • CHRONOLOGICAL AND REGIONAL DIFFERENCES OF TESTICULAR CANCER
  • EPIDEMIOLOGICAL ANALYSIS OF INCIDENCE IN GUNMA PREFECTURE AND ESTIMATED DATA OF NATIONAL SURVEY, AND OF DEATH IN JAPAN
  • 群馬県および全国統計による疫学的検討

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抄録

(目的) 精巣腫瘍は頻度は少ないが, 高齢者のみでなく小児や青壮年などにも発生することから, 重要な癌である. われわれは, 日本における精巣腫瘍の疫学について調査し, その特徴, 問題点を明らかにする目的で今回の検討を行った.<br>(方法) 群馬県における精巣腫瘍の罹患に関しては, 群馬県およびその近郊において泌尿器科の診療を行っている病院, 医院について, 1985~94年における病理台帳を調べた. これより年度別年齢調整罹患率をもとめた. 全国の罹患率については「地域がん登録」研究班の推計値を参照した. 死亡に関しては, 大野らの資料および厚生省大臣官房統計情報部の保管統計表より1947~98年の精巣腫瘍の年度別死亡数, 年齢調整死亡率を, 厚生省大臣官房統計情報部の保管統計表より1973~98年の年齢別死亡率およびその減少率, 各県別標準化死亡比 (SMR) をもとめ, その特徴について検討した.<br>(結果) 年度別年齢調整罹患率は, 群馬県では全体的には増加傾向, 全国では1975~79年から1980~84年にかけてやや増加したが, その後はほぼ横ばいであった. 年度別死亡数, 年齢調整死亡率は, ともに1980年頃を境にして減少傾向を示していた. 年齢別死亡率は, 乳幼児, 20~40歳, 高齢者において死亡率のピークがみられた. 年齢別死亡率の減少率は, 20歳以下および高齢者において高かったが, 25~34歳では低かった. 各県別標準化死亡比は, SMRが120以上と死亡率の高い県は全国に散在していたが, 80以下の低い県は西日本を中心に分布していた.<br>(結論) 死亡数, 死亡率は1980年頃を境にして低下しており, これはシスプラチンの臨床試験が開始された時期と一致した. 現在でも年間100人余りの死亡があり, 早期発見, 早期治療や進行例に対する治療法の改良が重要である.

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参考文献 (19)*注記

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