一側副腎摘出後6年間の寛解をみた副腎皮質結節性過形成による Cushing 症候群の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE REPORT OF CUSHING'S SYNDROME DUE TO ADRENOCORTICAL NODULAR DYSPLASIA, WITH REMISSION PERIOD FOR ABOUT 6 YEARS AFTER UNILATERAL ADRENALECTOMY

この論文をさがす

抄録

症例は29歳, 女性. 昭和52年頃より徐々に Cushing 症候群の症状が出現してきた. 昭和55年9月に当院に紹介入院し, 両側副腎腺腫による Cushing 症候群の診断で, 二期分割手術を予定し12月22日に右副腎摘除術を施行した. 右副腎には径1.8cmの黒色結節と多数の黒色小結節を認め, 病理組織診断は primary adrenocortical nodular dysplasia であった. 術後ステロイドの補充を行わなかったが, 副腎不全症状はみとめられなかった. しかし, 3ヵ月後に副腎不全症状が出現し, 以後4ヵ月間デキサメサゾンを投与した. その後 Cushing 症候群の症状なく経過していたが, 昭和61年11月には再び Cushing 症候群の症状が明かとなり, 昭和62年6月1日に左副腎摘除術を施行し, 左副腎に右側と同様の所見を認めた. 本症例の様な経過を示した結節性過形成例の報告はなく極めて稀と考えられる. また, 本症例での血中ACTHと cortisol の変動にはACTHが必ずしも完全に抑制されていない時があること, また結節よりの自律分泌にも変動があると推測されることなどから下垂体と副腎の二元支配が疑われた.

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ