嚢胞性腎疾患に合併した腎癌の予防

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タイトル別名
  • PROGNOSIS OF RENAL CELL CARCINOMA COEXISTING WITH RENAL CYSTIC DISEASES
  • Results of Nation-wide Survey in Japan
  • 全国調査の結果

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抄録

(目的) 嚢胞性腎疾患に合併した腎癌の予後を検討した.<br>(対象と方法) 1994年, 嚢胞性腎疾患に合併した腎癌の予後に関する全国調査をおこない, 集計された216名を対象とし統計学的検討をおこなった.<br>(結果) 嚢胞性腎疾患の内訳は, 単純性腎嚢胞69名, 多嚢胞化萎縮腎61名, 嚢胞状腎癌54名, 多房性腎嚢胞19名, 嚢胞腎3名, その他9名, 不明1名であった. 全体の五年生存率は84%ときわめて良好であった. 性別および年齢別の予後に有意差は認めなかった. 腎癌に起因する症状のないもの (65%) は症状のあるもの (35%) に比して有意に予後が良好であった. 嚢胞の種類別では, ACDKの予後が最も不良で, 嚢胞状腎癌が最も良好であり2群間に有意差を認めたが (Log-Rank検定), その他の嚢胞間に有意差はなかった.<br>TNM分類では, pT1+2が全体の87%をしめ, 一般の腎癌の報告に比べ多かった. このため今回の集計で予後が良好であったと考えられる. また嚢胞穿刺液の細胞診陽性群では陰性群に比し, 有意に予後が不良であった. しかしながら嚢胞穿刺群と非穿刺群との予後に差はなかった.<br>(結論) 嚢胞性腎疾患に合併した腎癌では, 一般の腎癌の統計に比較し予後は良好であった. 嚢胞穿刺が播種をひきおこし, 予後を悪化させる可能性を示唆するデータはなかった.

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