日本のモクレン属の学名の再検討 : III.ハクモクレンとシモクレン

書誌事項

タイトル別名
  • A nomenclatural revision of the Japanese Magnolia species (Magnoliac.), together with two long-cultivated Chinese species : III. M. heptapeta and M. quinquepeta
  • 日本のモクレン属の学名の再検討-3-ハクモクレンとシモクレン〔英文〕
  • ニホン ノ モクレンゾク ノ ガクメイ ノ サイケントウ 3 ハクモク

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抄録

日本産モクレン属各種類と,ハクモクレンとシモクレンの学名を再検討し正名を定めた.なお,第1,2部はTaxonに投稿したので合わせて抄録させていただきたい(UEDA,1986a,b).これらは古くから欧米に花木として導入されている.19世紀初期までは情報不足から一部の種の取り扱いに混乱がみられるが,各分類群の概念はほぼ一貫している.多くのすぐれたモノグラフ等も出版されている(REHDER and WILSON, 1913 ; MILLAIS, 1927 ; JOHNSTONE, 1955 ; FOGG and MCDANIEL, 1975 ; SPONGBERG, 1976 ; TRESEDER, 1978等).東亜温帯産のモクレン属を最初に包括的に再検討したのはREHDER and WILSONで,初期に書かれた多くの学名を整理し,そこで採用された学名が一般にうけいれられてきた.ところが,最近になって,ホオノキ,ハクモクレン,ノモクレンの学名について論争が起きている(DANDY, 1973 ; SPONGBERG, 1976 ; HARA, 1977, 1980 ; TRESEER, 1978 ; OHBA, 1980).筆者はこれらの議論を詳しく検討し,また,コブシとシデコブシに現在採用されている学名は使用できないことが判明したので報告する.大変不幸なことに大半の種は現在採用されている学名は使えず,以下の学名が正名である.すなわち,ハクモクレン : M. heptapeta(BUCHOZ) DANDY, シモクレン : M. quinquepeta (BUCHOZ) DANDY, シデコブシ : M. tomentosa THUNB., コブシ : M. praecocissima KOIDZ., ホホノキ: M. hypoleuce SIEB. et ZUCC., ウケザキオオヤマレンゲ : M. × wieseneri CARRIEREである.従来のままはタムシバ M. salicifolia (SIEB et ZUCC.) MAXIM.と最近認識されたコブシモドキM. pseudokobus ABE et AKASAWA (1954), オオヤマレンゲM. sieboldii ssp. japonica UEDA (1980)だけである.

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