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- 徳富 孝志
- 久留米大学医学部脳神経外科
書誌事項
- タイトル別名
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- Pathophysiology and Critical Care Management of Traumatic Brain Injury
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抄録
外傷性脳損傷急性期に認められる脳低酸素/虚血状態が二次性脳損傷の進行や転帰悪化に強く影響することが知られている.外傷後早期脳虚血状態の主な原因としては, 低血圧や頭蓋内圧亢進に伴う脳灌流圧低下, あるいは止血炎症反応に伴う脳微小循環障害などが挙げられる.脳血管ならびに代謝の自動調節能が障害されている場合にはこれらの影響はさらに強く現れる.二次性脳損傷を最小限にとどめるための急性期治療の主眼は, 呼吸・血圧の安定化と頭蓋内圧コントロールによって脳灌流圧を正常に保ち, かつ脳血流と代謝の不均衡状態を是正して脳代謝を維持することにある.日本神経外傷学会編『重症頭部外傷治療・管理のガイドライン』においても, 呼吸, 血圧, 頭蓋内圧の管理法と管理目標について重点的に述べられている.しかし, これらの点についてもなお異論は多く, また確たるエビデンスに基づくものはわずかしかない.日本神経外傷学会の「頭部外傷データバンク」報告では, 重症例の死亡率は51%で社会復帰できたのはわずかに15%のみであった.重症例の治療がいかに困難かを示すものであり, 管理法や管理目標など, 今後さらに検証を進めるべき多くの課題が残されている.
収録刊行物
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- Japanese Journal of Neurosurgery
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Japanese Journal of Neurosurgery 14 (7), 425-432, 2005
日本脳神経外科コングレス
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204406250240
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- NII論文ID
- 110003813994
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- NII書誌ID
- AN10380506
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- ISSN
- 21873100
- 0917950X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可