血清学的方法によるコガタアカイエカの捕食性天敵の調査 : 1. コガタアカイエカ体成分中の特異抗原の検出

書誌事項

タイトル別名
  • Study of the natural predators of a mosquito Culex tritaeniorhynchus in rice field areas by using precipitin tests : 1. Laboratory tests for the detection of the antigens specific to Culex tritaeniorhynchus extract
  • 血清学的方法によるコガタアカイエカの捕食性天敵の調査-1-コガタアカイエカ体成分中の特異抗原の検出〔英文〕
  • ケッセイガクテキ ホウホウ ニ ヨル コガタアカイエカ ノ ホショクセイ テン

この論文をさがす

抄録

コガタアカイエカの捕食性天敵を, 血清学的方法の一つである免疫電気浸透法(Electrosyneresis : ES法)を用いて調査するために, コガタアカイエカ体成分中に存在する特異抗原の検出について検討した。コガタアカイエカ4齢幼虫と成虫に対する免疫抗血清はいずれもES法により免疫原を2,048倍希釈まで沈降させた。これらの抗血清中にはコガタアカイエカ体成分のほかにシナハマダラカの幼虫, 成虫体成分と交差反応する抗体の存在も認められた。シナハマダラカ体成分で吸収した抗コガタアカイエカ血清は, シナハマダラカ体成分に対してだけでなく, 水田地帯に生息している捕食性節足動物13種およびその餌になりうる昆虫9種の体成分に対しても交差反応をまったく示さなかった。吸収後の抗コガタアカイエカ血清を用いた免疫電気泳動法では, コガタアカイエカ幼虫および成虫の体成分から複数の特異抗原が検出された。実験的にコガタアカイエカ4齢幼虫1匹を捕食させたウスバキトンボ幼虫, シマゲンゴロウ属幼虫およびコガムシ属幼虫, またコガタアカイエカ雌成虫1匹を捕食させたキクズコモリグモ成体とシコクアシナガグモ成体につき, 24時間後にコガタアカイエカ体成分の検出を吸収抗血清を用いたES法により試みたところ, いずれの虫体からもコガタアカイエカ特異抗原が検出された。これらの結果から, コガタアカイエカ体成分の特異抗原を指標にしたES法は, コガタアカイエカに対する捕食性天敵の野外調査に適用しうる有効な方法であると思われた。

収録刊行物

  • 衛生動物

    衛生動物 45 (1), 43-51, 1994

    日本衛生動物学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ