「たくむ」「たくみ」語義の形成と変遷 : 日本におけるデザイン思考・行為をあらわす言語概念の研究(1)

書誌事項

タイトル別名
  • The Words : Takumu, Takumi, Meaning and Transition : Linguistic Conception as Design in Japan (1)

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抄録

今日の日本で,デザインということばは日常語として用いられている。西洋概念の受容以前に,「たくむ」「たくみ」は,デザイン行為の概念と重なる意味を含んだ日本語として存在した。本文では,その語義の形成と変遷について検討を行った。「たくむ」「たくみ」はヤマトコトバであり,もとは手わざを意味するものではなく,「考え出す」「工夫する」「計画する」という思考を意味する概念を有していた。語源は確定されないが,「手組」として理解されていたことがわかった。「たくみ」は,漢字の移入によって,「匠」「工」「巧」などの単字,「工匠」「工人」「匠者」などの熟字と対応関係を築いた。また,律令制度のなかで官職や雇役民の名称となり,職能や人の身分を示すことばとして定着した。近代以後,「たくむ」「たくみ」とも仕様される度合が減じた。日常的な話ことばにおいても,意味を代替する漢語(および漢語サ変動詞)が用いられることが顕著になったことによる。これらのことばが元来有する語義を,あらためて認識することの重要性が示唆された。

収録刊行物

  • デザイン学研究

    デザイン学研究 50 (2), 101-110, 2003

    一般社団法人 日本デザイン学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (82)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205412022144
  • NII論文ID
    110003824922
  • NII書誌ID
    AN00150292
  • DOI
    10.11247/jssdj.50.101
  • ISSN
    21865221
    09108173
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • Crossref
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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