乱流中における 2 次元角柱の風上面に作用する風圧変動について

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タイトル別名
  • ON PRESSURE FLUCTUATIONS ON WINDWARD FACES OF TWO-DIMENSIONAL SQUARE PRISMS
  • ランリュウチュウ ニ オケル 2ジゲン カクチュウ ノ フウ ジョウメン ニ

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抄録

角柱の風上面に作用する風圧変動に関する風洞実験結果から, その性質について次の諸点が明らかとなった。(1) 角柱風上面に作用する風圧変動のパワースペクトルは, 低周波数領域においては一般流の風速変動のスペクトルを同形となるが, 高周波数領域では風圧変動の方がスペクトルの減少勾配が大きい。風圧変動のスペクトルの減少勾配は停流点に近い程大きく, 停流点付近でのスペクトルの減少勾配は周波数の-3乗に比例する。(2) 風圧変動のスケールは, 鉛直(角柱の軸方向)及び水平方向(軸直角方向)とも, 風速変動のスケールより大きい。また風圧変動のスケールは, 角柱の幅と乱れのスケールの比B/L_xが大きくなる程増大する。B/L_x=1.47付近における風圧変動のスケールは鉛直方向が風圧変動のスケールの約1.5倍, 水平方向が約2.0倍程度である。(3) 風圧変動の周波数別相互相関, 即ち正規化コスペクトルも, 風速変動のコスペクトルより大きい。この傾向は特に高周波数領域で顕著である。風圧変動の鉛直方向のコスペクトルは, 風速変動と同じように測点間の距離と乱れのスケールとの比ξ/L_xによって大きく影響されるが, 水平方向のコスペクトルはξ/L_xによってあまり影響を受けない。(4) 物体の風上における乱れの変形を考慮に入れたHuntの理論は, 定性的には本実験結果と極めてよく一致する。しかし, 風圧変動のパワースペクトルの高周波数領域での減少勾配が大きく異なる点等に見られるように, 定量的には問題があり実際の高層建築物の応答評価にそのまま適用できるものではない。この要因は, Huntの理論が乱れ強さが小さいという条件のもとに, 乱れの変形に及ぼす粘性の効果を無視していることにあると考えられる。実際の問題のように乱れ強さが大きい場合, 乱れが物体周囲の平均的な流れによって急速に変形しきらないうちに, 乱れの相異なる周波数成分間の相互作用によってエネルギーが交換されていると思われる。(5) 角柱の風上面の風圧変動とその風上の風速変動を結びつける線型交換子(pressure/velocity admittance)は, Huntの理論で予測される高周波数領域のみならず, 解析したすべての周波数領域で無次元周波数n・B/Uのみの関数で表現することができ, 次式で近似することができる。[numerical formula] ここにαは角柱の中央点からの水平距離によって決まる係数で, 停流点の場合2/3となる。しかし, 以前筆者等が予想したように, αは角柱の中央点からの相対距離2y/Bのみの関数とはならず, 同じ相対距離でのαの値はB/L_xが大きい程大きくなる。(6) 本実験の結果を考慮して計算した高層建築物のガスト影響係数は, 鉛直及び水平方向の正規化コスペクトルの係数C_V, C_Hをそれぞれ8及び20としてDavenportの方法によって計算した値よりも15%〜20%程度大きく, C_V=C_H=8とした場合の計算値とほぼ等しい。従って, 実用上は, C_V=C_H=8としてDavenportの方法によってガスト影響係数を計算すればよい。

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