岩石物性と地質現象 : 常磐炭田石域地区として

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Abstract

表題の地域に発達する第三系を切る断裂系の形成機構を岩の力学的に考察した。本地域のいくつかの主断層に伴って発達する数多くの小断層の共やく(軛)性を用い, 第三系を切る断層のほとんどは最大圧縮主応力軸がほぼ鉛直に近い応力状態で形成された正断層であり, 基盤の垂直的な造構運動によって形成されたものであり, 第三系中に発達する節理も同じ原因によって生じたことが認められる。この断裂系の形成機構を実験的に検討するために, 対応するケツ岩質泥岩に最大圧縮主応力軸が層理面に直交する径19.5mm, 高さ39.0mmの円柱試験片について室温, ヒズミ速度3.5×10^<-5>/secで三軸圧縮試験を行なった。この岩石は周囲圧200バールでゼイ性破壊と延性変形の漸移を示す。この周囲圧は岩石の深さ870mに対応し, セン断性の断層・節理はこれ以浅でのみ形成されることになる。この870mは, ここで扱った地層の厚さにほぼ等しいことから, 断裂の形成機構が岩石の三軸圧縮試験によって裏づけられたと考える。タイ積岩, とくに泥質岩・砂岩の強度は地質学的要素に大きく支配され, 日本産第三系タイ積岩では同一時代, 同一岩質においても強度的に大きな地域差がある点と間ゲキ水圧の点に今後問題が残る。

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