放射性 Sr による乳の汚染に関する基礎的研究 EXPERIMENTAL STUDIES ON CONTAMINATION OF MILK WITH RADIOACTIVE STRONTIUM

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著者

    • 松岡 理 [他] MATSUOKA Osamu
    • 東京大学農学部家畜薬理学教室:(現)放射線医学総合研究所 Departmnt of Veterinary Pharmacology, Faculty of Agriculture, University of Tokyo

抄録

放射性降下物(Fallout)の牛乳への移行を研究する基礎の段階として, 家兎およびラットに Sr^<89> および Ca^<45> を投与して, Sr が乳に移行する状態を検討した. また投与された Sr および Ca の血中での消長と, 糞および尿への排泄の量的関係を追求した. その結果, 投与された Sr は血液から急速に消失すること, Sr は一般に尿より糞に多く排泄されること(家兎で投与後の24時間を除く), そして哺乳中のラットでは, その差が数倍から数十倍に及ぶことが明らかになった. そして Carrier-free の Sr では, 投与量の21%が10日間に排泄されるのに対し, Carrier を加えたものでは, これが53.1%であった. 乳中の Sr^<89> の濃度は, 血中濃度にくらべて非常に高い. これは血中の Ca 濃度と, 乳中の Ca 濃度との大差に由来するものと推定された. 一回注射によって投与されると, Sr の乳への移行は, 血中での消長と同様に, 急速に減少すること, また連続同量投与がくりかえされると, 乳への移行量は漸増することがわかった. さらに飲料水に Sr^<89> を混合して経口的に摂取させ, 乳への移行を経時的に追求した. その結果, 摂取量の約10%が吸収され, そのうち約20%が乳に移行するものと推定された. またこのとき, 飲料水に非放射性の Ca が大量に加えられると, 乳への移行が抑制される. しかし同様に非放射性の Sr が加えられても, 乳への移行は抑制されないことがわかった. 乳中の Sr が, 化学的にいかなる形で存在しているかを, 種々の方法で検討した. その結果, 大部分は乳中のカゼインと結合していることが明らかとなった. このことから, 乳製品への Sr の移行に一つの方向が考えられるので, in vitro で家兎乳および牛乳に Sr^<89>, Ca^<45> および Y^<90> を付加して実験した. またこれらを付加した牛乳を超遠心分離にかけ, レンネットで凝固させて実験した. これによって, 付加された Sr^<89> も Ca^<45> も, 生体を通過したものと同様に, カゼインと結合すること, およびレンネット凝固によって, カゼイン側, すなわちチーズ側に移行することが確かめられた. さらにこれらの場合に, 非放射性の Sr または Ca が, 同時に大量に加えられたとき, カゼインへの移行が, 量的にどのように変化するかを検討した. そしてこの現象が, 汚染牛乳の除毒に役立つ可能性について考察した.

Radioactive Sr and Ca were given to rabbits and rats in fundamental studies on contamination of milk with fission from the fallout. These isotopes were applied singly, injected daily, or allowed to ingest daily ad libitum as contained in drinking water. Transfer of Sr^<89> and Ca^<45> to the milk was determined by assaying the radioactivities of the rabbit milk which had been milked artificially and the radioactivities of suckling rats. By these methods, the dynamic movement of Sr in the animal body was studied. As a result, it was found that two per cent of the Sr orally ingested had been transferred to the milk. Studies were also made on the effect of full dose of carrier and non-radioactive Ca given at the same time with the isotope. The chemical form of Sr^<89> in rabbit milk was investigated by means of alcohol coagulation, determination of isoelectric point, and ultracentrifugation and it was found that Sr^<89> was bound to casein in milk. Cow's milk mixed with Sr^<89> and Y^<90> in vitro was coagulated by rennet and most of the added radioactivity was found in the coagulated fraction. The rate of danger in transference of Sr^<90> to the milk product was discussed.

収録刊行物

  • 日本獸醫學雜誌

    日本獸醫學雜誌 24(4), 201-214, 1962-08-25

    社団法人日本獣医学会

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    110003919061
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00191788
  • 本文言語コード
    JPN
  • ISSN
    00215295
  • NDL 記事登録ID
    9163685
  • NDL 雑誌分類
    ZR22(科学技術--農林水産--畜産)
  • NDL 請求記号
    Z18-350
  • データ提供元
    NDL  NII-ELS 
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