高齢患者における等尺性膝伸展筋力と立ち上がり能力の関連

  • 大森 圭貢
    聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院リハビリテーション部
  • 横山 仁志
    聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
  • 青木 詩子
    聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
  • 笠原 美千代
    聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
  • 平木 幸冶
    聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
  • 山﨑 裕司
    高知リハビリテーション学院理学療法学科
  • 笹 益雄
    聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院リハビリテーション部

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between Isometric Knee Extension Strength and Ability to Rise from a Chair in Elderly Patients

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抄録

本研究は,立ち上がり動作が障害される下肢筋力水準を明らかにすることを目的として,等尺性膝伸展筋力と立ち上がり能力の関連について検討した。対象は,運動器疾患を有さない65歳以上の高齢患者205名である。立ち上がり動作は,座面高40cm,30cm,20cmの台からの立ち上がりの可否を調査した。等尺性膝伸展筋力は,腰掛け座位で下腿を下垂させた肢位での筋力を徒手筋力測定器によって測定し,左右の脚の平均値を体重で除した値を百分率で表した。単変量解析によって,座面高40cm台からの立ち上がり不可能群,40cm可能群,30cm可能群,20cm可能群を比較した結果,年齢,身長,体重,Body Mass Index,等尺性膝伸展筋力に有意差を認めた。ロジスティック解析では,等尺性膝伸展筋力のみが,各座面高からの立ち上がりの可否に有意に影響を与えていた。等尺性膝伸展筋力が35%,45%,55%を上回った場合,それぞれ全ての者が40cm台,30cm台,20cm台からの立ち上がりが可能であった。一方,等尺性膝伸展筋力がこれらの値を下回る場合,筋力の低下に従って各座面高からの立ち上がり可能者の割合は減少した。等尺性膝伸展筋力が20%を下回った場合,40cm台,30cm台からの立ち上がり可能者を認めなかった。同様に等尺性膝伸展筋力が30%を下回った場合,20cm台からの立ち上がり可能者を認めなかった。これらのことは,高齢患者の等尺性膝伸展筋力と立ち上がり能力が密接に関連することを示しており,等尺性膝伸展筋力が一定水準を下回った場合,立ち上がり動作が困難になると考えられた。

収録刊行物

  • 理学療法学

    理学療法学 31 (2), 106-112, 2004-04-20

    日本理学療法士学会

被引用文献 (15)*注記

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参考文献 (17)*注記

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