慢性関節リウマチ治療における中国産生薬・雷公藤の作用機序の解明

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抄録

【目的】中国において抗リウマチ(RA)剤として雷公藤が用いられているが,その作用機序については十分に理解されていないのが現状である.また,RAにおける関節破壊にはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)が中心的役割を担っていると示唆されている.今回,ヒト関節滑膜細胞においてMMPsおよびその組織性インヒビター,TIMPsの産生およびそれらの遺伝子発現に対する雷公藤の作用について,雷公藤由来ジテルペントリエポキシド化合物のtriptolideを用いて検討した.【方法】ヒト関節滑膜細胞をinterleukin 1α(IL-1)およびtriptolideで処理し,proMMP-1/プロコラゲナーゼ,proMMMP-3/プロストロムライシン-1,TIMP-1およびTIMP-2の産生をウエスタンブロット法およびノザンブロット法により解析した.また,滑膜細胞のプロスタグランジン(PG)E_2産生に対するtriptolideの作用についても検討を加えた.【結果】ヒト関節滑膜細胞においてIL-1により誘導したproMMPs-1および-3の産生および遺伝子発現はtriptolideの濃度依存的に抑制された.TIMPs-1および-2産生は逆に濃度依存的に促進された.また,triptolideはIL-1により誘導されたPGE_2産生を同様に抑制し,その抑制作用がシクロオキシゲナーゼ(COX)-2の選択的発現抑制に起因することが判明した.【考察】ヒト関節滑膜細胞において雷公藤はMMPs産生抑制およびTIMPs産生促進による関節破壊防止作用を示すものと示唆される.また,COX-2の産生抑制に起因した抗炎症作用を併せもつことが示唆される.

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