歯槽骨欠損部に対する脱灰骨粉末移植の骨新生過程に与える影響

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  • Effects of decalcified bone powder implant on new bone formation at experimental alveolar bone defects

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抄録

口唇裂口蓋裂患者の顎裂部骨欠損に対し, 歯槽部連続性の回復, 歯の萌出誘導あるいは歯の移動を目的としたsecondary bone graftが行われる.本研究では, secondary bone graftにおける骨誘導物質の応用を図る端緒として, 骨誘導能を持つ脱灰骨粉末が骨新生過程に与える影響について検討した.方法 : SD系6週齢雄性ラットを用い, 上顎左側第一臼歯近心部の粘骨膜をコの字型に剥離した後, 裂隙を想定した鼻腔粘膜に達する柱状の骨欠損を作成し, 実験的骨欠損部とした.脱灰骨粉末の移植は, 生理食塩水にて泥状にした約5 mgを骨欠損部に填入し, 移植後粘骨膜を元の位置に戻した.脱灰骨粉末を移植した群を実験群, 移植せずに骨欠損のみを作製した群を対照群とし, 移植後経時的に組織学的観察(トルイジンブルー染色)を行った.脱灰骨粉末は, 同種ラット頭蓋冠を, 蒸留水洗浄, アセトン脱脂した後, 液体窒素中にて粉砕(直径74∿420μm), 塩酸により脱灰し, アルコール減菌を行い作製した.結果 : 1) 対照群では, 骨新生は骨欠損部周囲骨からの添加性成長のみで, 8週においても骨の連続性は回復していなかった.2) 実験群では, 術後4週で, 骨欠損部周囲骨からの添加性骨成長に加え, 移植脱灰骨粉末周囲に骨新生が認められ, 術後6週以降では, 移植脱灰骨粉末周囲の新生骨形成が進んだ結果, 骨の連続性の回復がなされていた.結論 : 実験的骨欠損部に対する脱灰骨粉末移植は, 顎裂を想定した実験モデルにおいて骨新生を促進することが示唆された.

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