歯の移動後に生じた後戻りにおける歯根膜の応答性

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  • Reactiveness of the periodontal ligament during relapse of experimentally moved teeth

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抄録

歯の移動後に生じた後戻り時の歯根膜組織改造の経時的推移を解明する目的で, マウス下顎第一臼歯をへリカルループを屈曲して作製したスプリングにて2, 10, 15日間頬側へ移動後, 装置を撤去し, 0, 1, 2, 3, 5, 7, 10, 15, 20, 25日経過時に^3H-prolineまたは^3H-thymidineを投与し, 歯根膜線維芽細胞の代謝活性および増殖活性の変化の様相を調べた.下顎骨の頬舌的縦断切片を作製し, 第一臼歯近心根部歯周組織のオートラジオグラムおよび組織学的所見から, 以下の結果を得た.1. 2, 10, 15日間の移動を行った歯は装置の撤去によって, 2∿3日で元の位置に復位した.2. 歯の復位が2∿3日と急速に生じるにも関わらず, 最大圧迫部においても変性組織の出現は認められず, また, 移動時に出現した変性組織は後戻り中に急速に修復された.3. 歯の移動により線維芽細胞の代謝活性や増殖活性が上昇した歯周組織では, 後戻りにより歯が復位する際に, 生理的定常状態にある歯の移動を開始する時よりも細胞活性が高い状態で対応する.4. 歯が復位した後の歯根膜線維芽細胞の代謝活性や増殖活性は, 歯の移動中に生じた歯周組織の修復改造程度により推移は異なるが, いずれの場合もほぼ同一期間内に, 上昇した細胞活性は定常レべルに戻る.以上の結果から, 歯の移動が行われた歯根膜では組織の反応性や細胞の応答性が高まっているため, 後戻りを引き起こす力が加わることにより, 急速に細胞活性を上昇させて, すみやかに対応することが明らかとなった.

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